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はじめに
私は2024年1月末に日商簿記2級を受験し、合格することができました。
3級の時と同様に、記憶が新しいうちに勉強方法や勉強時間など記していきます。
日商簿記2級とは
簿記と一口にいってもいくつか種類がありますが、本稿では日商簿記に関してを記述していきますのでご理解ください。
日商簿記2級とは、簿記3級よりも1段階難易度が上の試験になります。この上にはさらに簿記1級が存在しています。
簿記2級は経営管理に役立つ知識として、かなり求められる資格のひとつであり、「商業簿記」と「工業簿記」の2つの領域の知識が要求されます。
商業簿記は、購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能であり、経営管理者・取引先・出資者・消費者に対して適切かつ正確に経営状況の報告を行うためのものです。
工業簿記は、企業内部での部門別や製品別の原価や人件費を記録・計算するための技能であり、こちらも経営管理に必須の知識となります。
簿記2級のメリット
日商簿記3級と比べると、やはり簿記2級のほうがより高度な内容かつ実践的な内容を含んでくるため、資格を持っていることで専門的な知識を持っているとアピールすることができ、また実際に多くの企業からのニーズがあります。
そのため、履歴書などに記載しておくと有利に働く可能性が高いです。
また、公式が発表している合格者特典として、大学の推薦入試に有利であるとのことですので、大学受験を控えている高校生の方にもメリットがあります。
このように、日商簿記2級は学生から社会人まで、多くの方に取得するメリットがあります。
もちろん資格であるため、取得することへのデメリットは存在しません。
試験概要
試験難易度
日商簿記2級の試験合格率は統一試験(筆記)の場合は、およそ20%前後となっており、ネット試験の場合は40%前後です。日商簿記3級の全体の合格率40~50%と比較すると難易度が上がっていることがわかります。
統一試験とネット試験ではネット試験のほうが合格率が高いですが、これはあくまで予想ですが、自分の好きなタイミングで試験を受けられ、そこに向けて自分で勉強していけるスタイルがより高い合格率に寄与しているかもしれません。
試験内容
日商簿記2級の試験では、大きく5題が出題されます。
問題数 | 出題内容 | 点数 |
第1問 商業 | 商業簿記の仕分け | 20点 4点×5問 |
第2問 商業 | 連結貸借対照表や連結損益計算書の作成 | 20点 2点×10問 |
第3問 商業 | 決算整理事項に基づく貸借対照表・損益計算書の作成 | 20点 2点×10問 |
第4問 工業 | 工業簿記の仕分け、原価計算 | 12点 4点×3問 16点 4点×4問 |
第5問 工業 | CVP分析、原価報告書や損益計算書の作成 | 12点 2点×6問 |
試験時間:90分
合格点:70点以上
出題形式はある程度決まっていますが、簿記2級は3級などと比べると出題範囲が広くなるためキッチリ点を取ろうとすると対策に時間がかかります。
しかし、出るところを抑えながら勉強していけば、合格点を取ることはできるようになります。
受験方法
日商簿記2級の場合は、ペーパーテストである統一試験と、テストセンターで受験をするネット試験の2種類があります。
上述しましたが、ネット試験のほうが試験日程に融通が利くことや合格率が高いことを踏まえると、ネット試験にて受験したほうが良いでしょう。
受験費用は、統一試験の場合は5500円、ネット試験の場合はそれに事務手数料550円が加わった6050円となります。
どちらの試験の場合も、通常の計算機能を持つ電卓のみが持ち込み可能(関数電卓は不可)ですので、使い慣れたものを準備していきましょう。
勉強方法・試験対策
勉強時間
簿記2級の合格には、簿記経験者の場合は250~300時間、未経験者の場合は350~500時間が必要であるという情報があります。
筆者の場合は簿記3級を11月に取得し、その後に簿記2級の勉強に取り掛かり始め、12月と1月の2か月間、平均して約3時間ほど1日あたり勉強していました。
簿記3級の基礎知識をもとに発展した内容が多いため、いきなり2級に挑むとなると、まずは簿記3級レベルの知識の習得が必要となるため、当然ですがより多くの勉強時間が必要になります。
勉強道具
私の場合は完全に独学で勉強をしており、通信教育やスクールといった類のものは利用していません。
簿記2級になってくると、こういった有料サービスを活用して効率よく短期間で資格を取るというのも、戦略のひとつにはなってくるはずですが、私の場合は可能な限り出費を抑えたかったため、参考書と問題集のみでの勉強を行いました。
この点は簿記3級を受験したときと同じような感じです。
ちなみに使用した参考書は「みんなが欲しかった!簿記の教科書・問題集」シリーズです。3級でも使用していたので同じ種類のものを選びました。
簿記2級の場合は、商業簿記と工業簿記の2種類が存在し、それぞれに教科書と問題集が存在するため、意外と出費になりました。気になる人はメルカリなどの中古で安く手に入れましょう。
筆者の勉強方法
あくまでも簿記3級のレベルを理解している前提での学習スタイルになります。
個人的な感想ですが、商業簿記の場合は「仕訳ができれば問題を解ける」と思っています。また、工業簿記の場合は「解き方がわかればパターンにはめ込むだけ」です。
商業簿記・工業簿記どちらもですが、まずは一通り参考書をサラッと読み流して、どのような内容があるのか概要をつかんでいきます。
その後、章末の問題演習を解きながら各章の理解を進めるとともに、問題の解き方を覚えていきます。
一通り解き終わったら、あとは問題集に移行して演習を繰り返していくのみです。正直なところ最初に解き始めると、だいたいどうやっていいのかわからなかったり、全然解けなかったりしますが、そういうものだと思って、解答・解説を読みながら問題を解いていき、各問題の解き方をしっかり身に着けていきます。
全体を通して大体の解き方がわかってきたら、次の2周目ではできるだけ自力で問題を解いていき、間違ったところに関しては参考書を使いながら知識の補足と定着を図ります。
3周目以降はひたすら繰り返していけばいいですが、この辺から付属されている演習問題を活用していきましょう。商業簿記・工業簿記の冊子それぞれに3回分の模試がついているため、全部で6回分の模試を解くことができます。
私の場合は3周目以降は間違えたところをメモしておいて、そこを重点的に取り組んだり、模試に関しても4周くらいして同じ問題に対して満点をまずはとれるように対策をしました。
結局のところ過去問や模試には、勉強に必要なエッセンスが詰め込まれているため、これを解くだけで試験対策としてかなり役立ちます。
もし直接2級に挑戦するスタイルの場合は、まず仕訳の概念などのところをしっかりと抑えていただき、各問題の仕訳ができるようになることが非常に重要であると思います。
合格のコツ
試験に合格するには満点を取る必要はなく、あくまでも70点を取れればよいため、確実に点数を取れるところでまずは点数を稼ぎましょう。
ここでは私が実際に解いた順番で個人的なコツを述べていきます。
第1問 商業簿記 仕訳
仕訳問題が5問出題されます。各4点で、ここだけで20点分の配点があるため少なくとも3問は正解したいところです。正直わからないものはわからないし、不安なものはいくら考えても不安なので、時間をかけて悩み過ぎるよりは潔く後の問題にいったほうが良いでしょう。
仕訳問題はかなりバリエーションが多いので、問題集の仕訳問題パートを活用して可能な限り自分の中の引き出しを多く持って挑みましょう。
第4問 工業簿記 仕訳、原価計算
第1問のあとに第2問に進むのではなく、第4問に進みます。
第4問では工業簿記の仕訳が3問、原価計算で4問が出題されますが、比較的短時間で解くことができるため、まずは確実に点数を稼ぐためにこちらを解いていきます。
この第4問だけで28点分の配点があるため、ここをきっちり抑えられるかがポイントになってくるでしょう。
工業簿記の仕訳や原価計算は、なかなか消費者目線としてイメージがしにくい所もあるので、参考書をもとにしたり、実際の工業製品の作り方を別で勉強してみるなどするとより理解が進むかもしれません。
第5問 工業簿記 CVP分析、原価報告書や損益計算書の作成
続いても工業簿記を解いていきます。第5問の配点は12点です。
ここまでの問題をすべて正解した場合、既に60点をゲットできているので、合格まではもう少しです。
第5問は難易度にばらつきがあります。損益分岐点の計算などがくるとかなり簡単に点を稼ぐことができますが、原価報告書の作成などが出題されると少し難易度は高くなります。
しかし、問題集や模試で解き方を身につけておけばパターンゲーム化してくるので比較的点は取りやすいはずです。
第2問 連結貸借対照表や連結損益計算書の作成
このタイミングで第2問に戻ってきます。第2問と第3問は問題文がそもそも長いので正確に間違いなく読もうとすると時間がかかること、そして問題ボリュームがそもそも大きいということから確実に点数を取るという意味では優先順位が下がります。どれだけ時間をかけても最大20点しかとることができませんので。第3問が終わった時点で残り15分とかになっていると、焦りまくって後にも影響してくるので、心の平穏のためにもこの問題の解き方をお勧めします。
第2問では連結損益計算書の作成などが求められますが、正確に仕訳ができること、そして問題のパターンに当てはめることができれば比較的容易に点数はとることができます。
どういった仕組みで作成されているのかなど、細かく理解することも大事ですが、試験に合格するうえではまず問題の解き方を覚えることが最優先です。
繰越利益剰余金の算出などは計算ミスが多発しやすい部分でもあるので、落ち着いて複数回電卓をたたくようにしましょう。
第3問 決算整理事項に基づく貸借対照表・損益計算書の作成
最後に第3問を解いていきます。こちらも配点としては20点であり、1問あたり2点なのでいくつか取りこぼしがあっても、完答しきれなくても多少は問題ないでしょう。
文章をもとに正確に仕訳ができれば、こちらの問題もパターンに当てはめていくだけです。(正確に仕訳をすることが難しい)
模試の問題を反復して解いていき、解き方をマスターしていきましょう。
ただ、仕訳のうち1つか2つはどう頑張ってもよくわからない・・・というものが出てくる可能性があります。
前後の文脈から予測することなども可能ですが、諦めることも時には必要です。
受験しようと考えている人へ
受験しようと決めたらまずは商工会議所のHPを見て、受験スタイルや目標日時を決めていきましょう。
商工会議所のHPはこちら⇒https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
簿記2級は3級の時と比べてかなり試験範囲が拡大されるため正直なところ勉強するのも大変でした。
ただ、毎日の定期的な勉強と反復練習での解き方の定着で私も無事資格を取ることできました。
今の時代は転職も当たり前のように行われるため、取得した簿記2級がいつか活躍する日がくるかもしれませんし、何よりも資格を取ったということに自信がわいてきます。
皆様も、自分の可能性を大きく広げる一歩、二歩として時間が許す限り挑戦してみてはいかがでしょうか。